A VISIT FROM ST.NICHOLAS – TWAS THE NIGHT BEFORE CHRISTMAS

今回紹介するする絵本は

“A VISIT FROM ST.NICHOLAS” というタイトル。

1行目が

“TWAS THE NIGHT BEFORE CHRISTMAS”

で始まるので、これがタイトルとされることもあります。

TWAS = it was

邦題は『クリスマスのまえのばん』。

作者はClement Clarke Moore(クレメント・クラーク・ムーア)。

 

日本語でもさまざまな出版社から出版されています。

そのなかでも英語の原文と、Jessie Willcox Smithの絵がついている

2001年に新世研から出版されたものがおすすめです。

訳はごとうみやこさんです。

 

A VISIT FROM ST. NICHOLAS の朗読を聞く

 

絵本は手に入りにくいのですが、詩の朗読はすぐに聞くことができます。

まずは詩をぜひ原文で聞いてみてください。

サンタ・クロースが8頭のトナカイが引くそりにのって、

空をかけめぐっている情景が生き生きと浮かんでくる詩です。

 

サンタ・クロースのイメージが現在と少し違う

1912年に最初にアメリカで出版されたこの絵本は、

現在のサンタ・クロースのイメージを定着させるのに大きく貢献しました。

 

8頭のトナカイが引くそりに乗ってくる、

夜中に煙突から家に入ってくる、

煙突下の暖炉につるされている靴下にプレゼントのおもちゃを入れる、

などがそのイメージです。

 

 

しかし、ジェシー・W・スミスが当時描いた絵をよく見てみると

現在定着したイメージとは違う描かれ方をしている部分もあります。

その部分に注目してみましょう。

 

まず、服の色です。

絵本に出てくるサンタ・クロースは真っ黒な毛皮といういでたちをしています。

煙突をくぐりぬける間にすすで服が汚れるからと

詩中で説明され、よりリアリティのある設定となっています。

 

And his clothes were all tarnished with ashes and soot.

 

そしてサンタ・クロースの背丈です。

現在では大柄なイメージがありますが、

絵本ではelf(小人)として描かれ、子どもの背丈よりもはるかに小さく

暖炉よりも低い身長です。

靴下にまで背が届かないため、脚立を使用しています。

 

He was chubby and plump, a right jolly old elf.

 

体型はまるまると太っており、腹がゼリーのように揺れています。

そして口にひげをたくわえ、パイプを口にくわえています。

 

The stump of a pipe he held tight in his teeth,

And the smoke it enriched his head like a wreath.

 

おもちゃがぱんぱんに入った袋をかついでいるさまは、

行商人(peddler)にたとえられています。

 

A bundle of Toys he had flung on his back,

He looked like a pedler just opening his pack.

pedlerは原文通り。

 

20年以上も作者不詳とされていた

詩は1823年12月23日にニューヨークの新聞 The Troy に

作者不詳で掲載されました。

 

詩を投稿したのはムーアの友人でした。

その詩は作者名なしでその後も新聞にたびたび掲載されました。

それから20年以上たった1844年にはじめてムーアが自分の選集に

この詩を掲載し、自分の作品であると認めました。

 

著名な学者であったムーアは子供たちのために詩を書くのも好きで、

この詩を公表する意図はなかった。

しかし友人がそのできばえに感心して内緒で新聞に投稿した、

といういきさつがあります。

 

サンタ・クロース=聖ニコラウスの訪問は恐怖⁈

 

A VISIT FROM ST.NICHOLAS

このタイトルに出てくるST.NICHOLAS(聖ニコラウス)とはサンタ・クロースのことです。

詩の中でもサンタ・クロースという名前は使われていません。

 

もともと、サンタ・クロースという名前は

サンクト・ニコラウスという3世紀ころの小アジア(現在のトルコ)にた

キリスト教の司教の名前がなまったものです。

 

彼の死後、聖ニコラウスの日(12月6日)には聖ニコラウスが子どものいる家を訪れ、

良い行いをしていた子供たちにはプレゼントを配り、

悪い行いをしていた子供たちにはおしおき(鞭うち)を与えるという伝説が作られました。

そのため聖ニコラウスは必ず子どもの日ごろの行いを記録した閻魔帳を持っており

単独で現れるのではなく必ず鞭を持った従者を連れています。

なんと悪い子は袋に入れて連れ去ってしまう「人さらい」もするという話もあります。

 

聖ニコラウスは子どもにとって恐怖の存在でもあったのです。

 

この絵本に出てくる聖ニコラウスはおもちゃの袋はかついでいますが

鞭をもった従者などは引き連れていません。

 

クリスマスの起源についてはこちらの記事も参考になります。

クリス・クリングル~クリスマス前に贈り物を交換するフィリピンの風習

 

おわりに

ニューヨークの新聞上で公開されてから200年。

絵本の出版から100年以上にわたって世界中で愛されている

A VISIT FROM ST.NICHOLAS(クリスマスのまえのばん)。

 

まだ読んだことのない方はぜひ手に取って読んでみてください。

 

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