フィリピンいろいろ

話題の「フィリピンオオコウモリ」についての事実

みなさんは、フィリピンに巨大なコウモリがいるというウワサを聞いたことがあるでしょうか?

 

この記事では、「フィリピンに人間サイズのコウモリが存在する」というネット上で騒がれている情報について、

管理人がリサーチしてみた結果をお伝えします。

 

フィリピンオオコウモリについて調べるにあたり、色々なサイトをのぞいてみたのですが、

日本語で書かれたサイトからは満足のいく情報を得られませんでした。

 

なので、自分でできる限りの調査をしてみました。

 

コウモリはタガログ語で、paniki(パニキ)です。

では、本題に入りましょう。

 

フィリピンオオコウモリの衝撃画像

 

フィリピンオオコウモリの姿は、21世紀にインターネット上で突然姿を現し、

全世界で爆発的に拡散されました。

 

こちらが、拡散されたツイートです。

https://twitter.com/AlexJoestar622/status/1275653432897126401?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1276110212374511616%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es2_&ref_url=https%3A%2F%2Fgulfnews.com%2Fworld%2Fasia%2Fpicture-of-human-sized-bat-from-the-philippines-goes-viral-netizens-spooked-out-1.1593343643184

 

写真のキャプションとして、

「フィリピンには人間サイズのコウモリがいると私が言っていたことを思い出してほしい。これが、私が言っていたものだ」

と書かれています。

 

このツイートは、約11万回のリツイート、26万を超えるライクを集め、完全にバズりました。

 

実はこの画像は数年前にもRedditという投稿サイトの投稿され、話題になっています。

 

What do you do when you see a Flying Fox in your backyard? (The Philippines) from natureismetal

 

フィリピンの森の中でひっそりと生きていたコウモリが、

人家の軒先でなにげなく休んでいたところを運悪く激写されてしまい、

ネット上でバラまかれてしまったわけです。

 

 

「人間サイズのコウモリ」は目の錯覚

 

この写真が本物なのか?という疑問について。

写真データを加工した形跡などはなく、おそらく本物だろうと思います。

 

ただし、背景にあるバイクとの比較で、

コウモリが実物よりもはるかに巨大に見えるように映っています。

 

それに「人間サイズのコウモリ」というキャプションがついているため、

見た人は「本当に人間サイズだ!」「バットマンだ!」

とやすやすと信じてしまいます。

 

たしかに、私たちが日ごろ目にするコウモリからはかけ離れたサイズ感ではあります。

ですが、本当に人間サイズといえるか?

 

Photo by Ronê Ferreira

 

 

いったん深呼吸して、落ち着きましょう。

 

実際には、「人間サイズのコウモリ」はいません。

 

写真の撮り方による錯覚が、大きな役割を果たしています。

本当はどのぐらいの大きさなのでしょうか?

 

オオコウモリの体長、腕の長さ、体重

 

フィリピンに生息している「オオコウモリ」には、

大きくわけると2種類のコウモリがいます。

 

Giant Golden-Crowned Flying Fox(学名:Acerodon jubatus

Large Flying Fox(学名:Pteropus vampyrus

 

どちらもMegabat(オオコウモリ)というグループに属します。

大きさは次のとおりです。

 

【Giant Golden-Crowned Flying Fox】

最大で体重1.4kg

翼を広げた時の幅が約2m

インドに生息するIndian Flying Foxか、パプアニューギニアに生息するGreat Flying Foxだけが

これよりも体重が重くなります。

前腕の長さは215cmという記録をもっています。

 

【Large Flying Fox】

体重は最大で1.1kg

翼を広げた時の幅が1.5m

頭とボディの長さは約30cm

前腕の長さは180~220cm

 

 

したがって、実際には体重、体長は人間サイズよりははるかに小さいものの、

翼を広げると約2mもの大きさになるということです。

 

オオコウモリはベジタリアン

 

オオコウモリに属するコウモリは、Flying Foxという名前のとおり、

キツネに似たユニークな顔立ちをしています。

 

主に熱帯の森の中に生息しています。

 

オオコウモリの生態について、ナショナルジオグラフィックの作成した動画が参考になります。

 

 

 

オオコウモリ(megabat)とココウモリ(microbat)との違いは、

ココウモリが超音波を出し、音の反響によって自分の位置を知るのに対して、

オオコウモリは視覚にたよって飛行します。

 

また、ココウモリは虫食性が多いのに対し、

オオコウモリは果実や植物の蜜、葉っぱを食べるベジタリアンです。

 

コウモリはドラキュラのイメージと結びつけられていますが、

血を吸うコウモリは南北アメリカ大陸に生息する吸血コウモリ(ナミチスイコウモリ)だけです。

それは1300もの種類がいるコウモリの中で、きわめて例外的なケースです。

 

金色の冠を持ったフィリピンオオコウモリ

 

Acerodon_jubatus_by_Gregg_Yan

 

オオコウモリの一種であるGiant Golden-Crowned Flying Foxは、

世界最大のコウモリのひとつであり、フィリピンに固有の生物です。

「フィリピンオオコウモリ」という場合は、このコウモリを指していると思われます。

 

「金色の冠をもった」オオコウモリという名前のとおり、

頭の部分から首にかけて栗色の毛が覆っています。

上の写真でもはっきりと認識できます。(Wikipediaから画像引用)

 

夜行性で、夜に食糧をあさりに出かけます。

昼は数千匹の群れで、木に止まって眠っています。

大好物はグァバの実なので、グァバの木が多い川岸地帯にいることが多いそうです。

人のいない場所を好み、海抜0メートルから1100メートルぐらいまで飛行します。

 

 

フィリピン以外にも生息するオオコウモリ

 

Large Flying Foxもまた、世界最大のコウモリのひとつです。

 

フィリピンだけでなく、マレー半島、インドネシアなどにも生息しています。

パプアニューギニアやインドにもよく似たオオコウモリが生息しています。

下の図は、オオコウモリ全体の分布図です。

 

日本では小笠原諸島や琉球諸島にオオコウモリが生息しています。

 

オオコウモリの分布 (Enwebb/Wikimedia Commons/CC BY-SA 4.0)

 

コウモリが未知の感染症の原因に

SARSコロナウイルス2

 

もし、コウモリを軒先などで見つけた場合、

手で直接さわることは、危険なのでやめましょう。

コウモリは、さまざまな未知のウイルスを持っている可能性があります。

 

オオコウモリはこれまでに人間や動物に様々な感染症をもたらしたウイルスの自然宿主として、調査されています。

その例をいくつか紹介します。

 

ニパウイルス感染症

 

オオコウモリ(Laege Flying Fox)は、1998年のマレーシアでの脳炎の多発を引き起こした

ニパウイルスの宿主と考えられています。

国立感染症研究所によると、

ニパウイルスの自然宿主はコウモリで、マレーシアで養豚業がさかんになったことで

ジャングルを切り開き大規模経営となり、豚が未知のウイルスと遭遇、

それが豚を介してヒトに感染した、と報告しています。

 

その後も2004年にもニパウイルスの感染がバングラデシュで確認されています。

バングラデシュでは、豚を介してではなく、ウイルス保有のコウモリによって汚染された果実から

感染したと言われています。

 

レストンエボラウイルス

 

1989年から1996年にかけて、フィリピンのサルの飼育施設でカニクイザルに病気の流行が発生。

これはレストンエボラウイルスの感染症と確認され、

オオコウモリが自然宿主である可能性が指摘されています。

このウイルスのヒトへの病原性については科学的根拠が確認されていません。

 

SARSコロナウイルス、新型コロナウイルス

 

SARSコロナウイルスは、2002年から2003年に中国南部や香港を中心に感染が拡大しました。

2005年に中国で多数のコウモリがSARSコロナウイルスが発見され、

コウモリからヒトに伝播した可能性が高いとされています。

 

2019年に中国・武漢で初の感染が確認されたSARSコロナウイルス2(新型コロナウイルス)の感染源は、

現在、調査中であり特定されていません。

 

しかし、自然宿主としてコウモリの疑いが浮上しています。

真相は調査の結果を待たなければなりません。

 

オオコウモリの生息地が脅やかされている

 

コウモリから未知のウイルスが家畜や人に伝染するという現象が、なぜ近年多発しているのか。

それには、「あること」が関係しています。

 

人間がコウモリの生息地である森林を脅かしていることです。

 

 

もともと、オオコウモリは人間がいる場所とは遠く離れた山や森、水辺で暮らしていました。

 

しかし、人間の活動領域が拡大し、それにともなって森林地域が大幅に縮小し、

人間や家畜などとコウモリの接触が拡大しています。

 

森林減少はオオコウモリの生息地を脅かし、絶滅の危機を近づけています。

すでにフィリピンオオコウモリはすでに、パナイ島やセブのほとんどの島などでは絶滅しています。

 

世界最大規模のオオコウモリ保護区

 

フィリピンには世界最大規模のオオコウモリ保護区が存在しています。

モンフォート・バット・サンクチュアリです。

この手の単独のコロニーとして世界最大であり、2010年にギネス認定されました。

 

 

モンフォート・バット・サンクチュアリはダバオから約1kmの位置にあるサマル島にあります。

ジュフロアルーセットオオコウモリ(Geoffroy’s Rousette Fruit Bat)が保護されており、

何万匹ものコウモリが飛び立つ様子や、木にぶら下がっている様子を間近で見ることができます。

コウモリのパニックを防ぐため、洞窟に立ち入ることは許されていません。

 

こちらのニュースで紹介されていますのでご覧ください!

 

まとめ

 

今回は、ネット上で拡散され、フィリピンオオコウモリについて、調べてみました。

 

コウモリの世界は非常に奥が深いですね。

コウモリは自然の中で、樹木の種子の運搬や受粉を促進し、森林の維持に役立っています。

しかし、それが人間の活動によって追いやられ危機にあることも知ることができました。

 

「人間サイズのコウモリ」の画像を見た方が、コウモリのことを考えるきっかけになれば幸いです。