クリス・クリングル~クリスマス前に贈り物を交換するフィリピンの風習

「クリス・クリングル」(Kriss Kringle)とは何か。

 

日本ではなじみのない言葉ですが、

フィリピンではクリスマス前に贈り物を交換しあう風習を

クリス・クリングルと呼びます。

この風習は「モニト・モニタ」と呼ばれることもあります。

フィリピンのクリス・クリングルは、どのように行われるのかを調べてみました。

 

 

クリスマスに贈り物をする習慣はいつから?

そもそもクリスマスに贈り物をする風習はいつから始まったのでしょうか?

 

調べてみると、面白いことがわかりました。

 

クリスマスに贈り物をする習慣は、キリスト教以前のローマ時代の祭りから始まっています。

 

「サトゥルナーリア祭」と呼ばれるローマ時代の祭りは、

ローマの神殿に閉じ込められた農耕の神「サトゥルヌス」が年に一度解放され、

黄金時代の再来を祈る祭りでした。

 

祭りは12月17日に始まり24日まで続き、

飲み食いやどんちゃん騒ぎに関する仕事以外はすべて休みとなります。

 

人々は食べる、飲む、食う、踊る、ばくち、女装するなどして街にあふれ返ります。

 

この祭りの期間中は、奴隷も主人と同等かより高い地位を与えられるらしいです。

真偽のほどはわかりませんが、さながら日本の「無礼講」といった感じです。

 

この「サトゥルナーリア祭」から、人々は贈り物を交換しあうようになりました。

最初は、常緑樹の小枝を森から取ってきて、幸運のしるしに贈りました。

そして、だんだんと贈り物の中身や量が増えていったのです。

 

「サンタ・クロース」の由来

サンタ・クロースはサンクト(聖)・ニコラウスというキリスト教の司教の名前が訛ったものです。

サンクト・ニコラウスは小アジア(現在のトルコ)リュキア地方にあるミュラで3世紀に生まれ、

生きている間にさまざまな奇跡を起こした伝説があります。

とくに多くの子どもたちを救いました。

 

たとえば、子どもを誘拐して商品にする肉屋に連れ去られ塩漬けにされた7人の子供を復活させたなど、

すごい伝説を残しています。

 

死後、命日である12月6日が「聖ニコラウスの日」として祝われ、

子どもたちにプレゼントを配る日として定着していきました。

 

 

8頭のトナカイに引かれたそりに乗って現れるサンタ・クロースのイメージを定着させた

クレメント・クラーク・ムーアの世界的に有名な絵本「クリスマスのまえのばん」があります。

その原題は”A Visit from St. Nicholas”というものです。

 

 

オランダでは「シンタ・クロース」と呼ばれていましたが、

17世紀にアメリカに植民したオランダ人が「サンタ・クロース」を世界に広げました。

 

クリスト・キントとクリス・クリングル

 

クリスマスに贈り物をする人はサンタ・クロース以外にもいろいろな名前があり、

ドイツでは「クリスト・キント」と呼ばれます。

 

クリスト・キントはドイツ語で「幼児キリスト」という意味で

クリスマスイブに子どもの望むプレゼントをもって天使とともに各家庭にやってきます。

サンタ・クロースのイメージとクリスト・キントは若干、異なります。

 

クリスト・キントは人に見られるのを嫌うはにかみ屋なので、

クリスマスツリーの飾りつけをした部屋にいつの間にか入ってきて

そーっとプレゼントを置いていきます。

 

このクリスト・キントがなまったものが「クリス・クリングル」です。

クリス・クリングルは、サンタ・クロースの別名と考えられています。

 

どういう経緯でフィリピンに「クリス・クリングル」が持ち込まれたのかはわかりません。

しかし、フィリピンでは元来の意味から独自に発展しました。

グループ内で贈り物を交換しあうクリスマスの行事をクリス・クリングルと呼びます。

 

クリス・クリングル(モニト・モニタ)のやり方

フィリピンで行われているクリス・クリングルのルールはシンプルです。

複数のフィリピン人の知り合いに取材をして、ようやくどんなものかがわかってきました。

 

通常のプレゼント交換と異なるのは、ただ一点で

「誰から受け取るのかがクリスマスパーティーの日まで明かされない」ということです。

 

クリス・クリングルは通常、学校や職場の同僚などのグループ内で行われます。

クリスマスの数週間前から始まり、贈り物をする頻度は

グループのオーガナイザーのクリスマスに対する本気さによって毎日だったり、週に一回程度だったりします。

 

はじめに箱の中からそれぞれのメンバーの名前を書いたカードを引きます。

それが自分の「モニト」「モニタ」(贈り物をする相手)になります。

 

1回あたりの贈り物の金額は50ペソなどと、全員の合意で相場が決められます。

毎回の贈りものにはテーマが決められ、テーマに合致するものを選んできます。

 

テーマは、たとえば

「面白いもの」

「やわらかいもの」

「緑色のもの」

「キラキラしたもの」というような感じです。

 

数週間にわたり、誰からか分からない贈り物を受け取ります。

または相手からは分からない状態で色々な贈り物をするというミステリアスな経験が続きます。

クライマックスはクリスマスパーティーの当日。

ようやく最後のプレゼントが直接、モニト・モニタに手渡されます。

 

大体、こんな流れです!

子どものころにみんなでやったら、楽しそうですね。

 

おわりに・参考文献

今回はフィリピンのクリスマスに行われる「クリス・クリングル」、

または「モニト・モニタ」を紹介しました。

 

クリスマスについては、以下の文献を参考にしました。

興味のある方はぜひ読んでみてください。


クリスマス小事典 (現代教養文庫)

 


サンタクロース物語 (求龍堂グラフィックス)