クリスマス前に9日間続くフィリピンの「シンバン・ガビ」とは?

「シンバン・ガビ」

それはスペイン時代以来、350年以上も続けられる

フィリピンのクリスマスシーズンの伝統。

 

フィリピンのクリスマスに関心のある方は

ぜひ読んでみてください。

シンバン・ガビの意味

Simbang Gabi とはタガログ語で「夜に教会に行くこと」を意味します。

 

フィリピンは宗教的にはカソリックが6割~7割を占める国です。

残りはムスリムやイグレシア・ニ・クリストなど

カソリック以外の信仰者です。

フィリピンは全員がカトリック

というわけではありません。

 

カソリックの人たちはカソリックを、

他の信仰をもつ人はそれぞれ自分の信仰を

大切にして生きています。

たとえばイグレシア・ニ・クリストの場合、

クリスマスを祝うということはしません。

 

教会に行く、行かない

クリスマスを祝う、祝わないは

それぞれの個人や家族によるというのが実際のところです。

 

フィリピンのクリスマスといえばみんなでパーティーをして楽しんだり

ショッピングモールで買い物をするなど

いろいろな楽しみがありますが

土台にあるのはあくまで信仰であり、家族が集まるものという考え方です。

 

その点、キリスト教徒以外にとってはなんの宗教的意味もなく

商業化されきった日本のクリスマス観とは異なる点です。

 

12月16日から始まる

カソリックの人々は12月16日から24日までの9日間、

日の出前に早起きします。

シンバン・ガビが午前4時から始まるからです。

 

9日間連続で行われるミサは

「ノヴェナ・マス」(9日間の祈り)といわれます。

 

最終日の24日に行われるミサは Misa de Gallo と呼ばれます。

Gallo はスペイン語で雄鶏を意味しており

その言葉どおり、午前3時頃から聞こえてくる

雄鶏の鳴き声とともに始まります。

 

フィリピン以外の国でもカソリックのいるところでは

クリスマス前にノヴェナがありますが、日の出ている時間です。

しかし、フィリピンでは日の出前に行われるのが最大の特徴です。

 

9日間教会に通うと願いがかなう

 

9日間のノヴェナをコンプリートすると、その願いはかなうと

人々の中では言い伝えられています。

 

シンバン・ガビは願いごとをかなえるために行くのではなく

家族の伝統と信仰のためのものと考える人々もいます。

 

カソリックの多くの人びとは家族の伝統としてシンバン・ガビに毎年行きます。

 

私の彼女に聞いたところ、彼女の親はカソリックではない信仰のため

彼女が子どものころ夜中に教会に行くことは許されなかったそうです。

彼女はクラスメートが翌日、シンバン・ガビに行ったと話しているのを聞いて

体験してみたいと思った、と言っていました。

 

気候と農民の生活

 

シンバン・ガビはいつから始まったか?

 

スペイン統治時代の初期、1669年から始まっています。

日本で1669年というと、江戸時代の初期。

蝦夷の地の先住民であったアイヌ人が

松前藩の支配・収奪に対して決起した

「シャクシャインの戦い」が起こり鎮圧された年です。

 

当時、フィリピンはスペインが統治しており、

農民たちは米作やココナッツ栽培をして暮らしていました。

彼らは耐えがたい暑さをさけるため日が昇る前から働き始めていました。

 

当初はクリスマスシーズンが始まると

夕方にノヴェナが行われていました。

日中の重労働にもかかわらずミサに人びとが参加しているのを見かねた

僧侶たちは農民に実際的な譲歩を行いました。

そしてノヴェナを日の出前に行うことととり決め、

教会の扉を地域コミュニティに開放した。

 

これがシンバン・ガビの始まりです。

以来、今日まで350年以上にわたり続いています。

 

2018年に掲載された下のニュースでも

シンバン・ガビはフィリピン人の間に根強く残る伝統であると書かれています。

https://www.pna.gov.ph/articles/1056699

 

シンバン・ガビといえばこれを食べる

フィリピンでは路上でさまざまな種類の食べ物が売られているのが特徴ですが

クリスマスシーズンは、この時期に特有の食べ物を買うことができます。

 

かつては教会の敷地内や近くで

シンバン・ガビに参加した人に向けて売られていたものですが

今日では教会の場所以外でもどこでも、時間も関係なく買うことができます。

 

クリスマスを連想させる食べ物の代表格に挙げられるのが

プト・ブンボンとビビンカです。

 

プト・ブンボン

もっとも目を引く色をしているのがプト・ブンボンです。

プト・ブンボンはもち米を蒸した餅で

鮮やかな紫色をしています。

形は細長く、竹の筒の中で蒸された形をしています。

 

なぜ紫色なのか、理由はよくわからないのですが

作るときに紫色の粉で色をつけます。

昔からそのやり方が伝わってきたから、伝統に従っているらしいです。

 

中にコンデンスミルクやチーズを入れたり、

上にココナッツやブラウンシュガーをかけます。

上にレチェフラン(フィリピンのプリン)をのせたスペシャルバージョンもあります。

 

 

ビビンカ

ビビンカはもち米を使った焼き菓子です。

見た目はカップケーキのようにも見えます。

 

面白いことにはアヒル卵の塩漬けをトッピングするバージョンもあります。

 

シンバン・ガビに参加する機会があれば、

ぜひこれらの甘~い食べ物を試してみたいですね。

 

おわりに

今回はフィリピンのカソリックの伝統であるシンバン・ガビを紹介しました。

12月16日から9日間連続で教会に行くことは

現代の多くの人には難しいことかもしれません。

 

しかし、強い信仰があったり、

かなえたい願望がある人はそれを行うこともあります。

12月24日は家族みんなで教会に行くことが家族の伝統というパターンもあるようです。

 

フィリピンのクリスマスについては他の記事もぜひ参考にしてください。

 

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