THE RABBITS’ WEDDING

今回紹介するタイトルは、

THE RABBITS’ WEDDING

作・絵  Garth Williams

1958年にアメリカで発行されました。

 

日本語にも翻訳され

「しろいうさぎとくろいうさぎ」という題で知られています。

訳は松岡享子さんです。

 

ストーリーライン

大きな森の中で遊ぶ

しろいうさぎとくろいうさぎのお話です。

絵はぼんやりとかすみがかかった、淡いトーンの色づかいです。

森の木々や草むらのなかで遊ぶうさぎや

月夜の森の中で動物たちが踊る様子が描かれます。

 

 

しろいうさぎとくろいうさぎは

毎朝、朝日のなか遊びに出かけます。

Hop Skip And Jump Me(馬とび)

Hide And Seek(かくれんぼ)

Find The Acorn(ドングリ探し)

などのゲームをして遊びます。

 

くろいうさぎが時折悲しそうな顔を見せることがあります。

しろいうさぎが「どうしたの?」と聞きます。

 

くろいうさぎは「考えごとをしているだけ」と答えます。

ついにしろいうさぎが

「何を考えているの?」と尋ねます。

 

くろいうさぎは

「君といつまでも、ずっといっしょに

いることができたらなと願っていた」

と答えます。

 

しろいうさぎ、くろいうさぎはタンポポの花を耳につけて結ばれます。

月夜の森で、動物たちは2羽のうさぎの結婚を祝福し、一晩中踊ります。

それからはくろいうさぎが

悲しい顔をすることはなくなりました。

 

こんなお話です。

 

「人種統合」のプロパガンダであると攻撃された

 

“THE RABBITS’ WEDDING”を読んだときに、

しろいうさぎ、くろいうさぎは

白人、黒人という人種を

暗示しているように思えました。

 

調べてみると、出版された時期は

公民権運動と呼ばれるアメリカの黒人解放運動の高まりの最中でした。

1959年には南部のアラバマ州で

この絵本が攻撃され、大きな問題となっていた

という事実があります。

 

アラバマ州議会議員のエドワード・オズウェル・エディンズと白人至上主義団体が

「”THE RABBITS’ WEDDING”は人種統合政策と異人種間の結婚を奨励するプロパガンダだ」

と攻撃しました。

エドワードと白人至上主義団体は、

異人種間の結婚を禁ずる法律を擁護していました。

 

彼らは図書館の書架からこの絵本を撤去し焼却することを要求し、

州公営図書館の長は絵本を擁護しながらもこの要求に応じました。

 

結果として州の全公営図書館の一般貸し出しの棚から撤去されました。

作者本人は政治的意図を否定していますが、

本人の意図にかかわらず、

歴史の中で議論の中心となった本なのです。

 

今この絵本を読んで、

検閲により図書館から撤去される本だとは

にわかに信じがたいように思います。

 

それから60年以上がたつ今、

黒人に対する暴力や構造的な差別は

再びBLM(Black Lives Matter)運動によって

世界に突き出されました。

 

背景を知ることで、

アメリカの現代史や自分たちが生きている時代についても

考えを広げていくきっかけにもなる本です。

 

おわりに

 

 

約60年前に発行され、人種差別主義者から

攻撃の的となり撤去された絵本。

“THE RABBITS’ WEDDDING”の朗読を

ぜひ聞いてみてください。

 

絵本は以下のAmazonリンクから購入することができます。